自転車事故加害者の保険加入率は60%
2017年に発生した自転車による歩行者の死亡・重傷事故のうち、自転車側の損害保険加入率が60%であることが警視庁の調査で明らかになりました。
年齢別に見ると19歳以下の加入率が71%に対し、25歳以上の加入率は56%とのことです。
加入率は意外と高い?
全国の自治体で自転車の賠償責任保険の加入を促す動きが見られますね。自転車の賠償責任保険の加入率が60%という結果は「意外と加入率が高いかな」と感じた方もいらっしゃると思います。
損害保険料算出機構の「自動車保険の概況(2017年3月発行)」によると、任意自動車保険の加入率でも約75%ほどなので、「自転車の保険加入率60%」というは、まずまずだという印象ですね。
ただ、自転車の保険加入率は事故を起こした人のみの加入率なので、自転車に乗る人全体の保険加入率はもっと低いかもしれません。
また、自動車の場合は任意自動車保険に加入しなくても自賠責保険があるので、全くの無保険の状態で走行している自動車はほぼありませんが、自転車には自賠責保険がないため保険に未加入であれば万が一の時の補償は何もありません。
無保険の自転車が全体の40%かそれ以上走っていると考えると、自転車の保険加入率はまだまだ低いですね。
自転車保険の落とし穴
さて、自転車保険は主に「自転車事故を起こした時の被害者への損害賠償を補償するため」に加入します。
加入方法も様々で専用の自転車保険に加入する他に、既に加入している火災保険や自動車保険に「個人賠償責任特約」を付帯する方法もあります。
個人賠償責任特約の場合、1契約で「本人・配偶者・同居の親族・別居の未婚の子」が補償対象となります(自転車専用の保険ではプラン内容によります)。
家族みんなが補償対象となるのは非常に便利ですが、うっかりしていると被保険者から外れてしまうこともあります。
例えば3世代で同居している家族で祖父母を被保険者本人とする場合、同居しているうちは孫も補償対象となりますが、孫が家を出ると補償対象外となります(「別居の未婚の子」ではないため)。
この場合ですと、孫の父母が被保険者本人となることで孫が補償されます。
このように、家族全体が被保険者となる契約では「被保険者本人」を誰にするかによって補償される家族が変わるので、特に家族が自立して家を出るときは注意が必要です。
自転車事故被害者の補償は薄い
自転車の賠償責任保険に未加入で事故を起こしてしまったら、相手への損害賠償は加害者自身が負担することになります。
自動車事故では自賠責保険があるので、たとえ任意自動車保険に加入をしていなくても被害者への最低限の補償はあります。
また、加害者が自賠責保険未加入であったり、ひき逃げで加害者不明で自賠責保険の補償対象とならなくても、政府保障事業により被害者は自賠責保険と同様の補償が得られます。
しかし、先ほども述べましたが、自転車には自賠責保険も政府保障事業もありません。自転車事故の被害者は、加害者が無保険で損害賠償を負担する資力がなければ、何の補償も受けられない可能性があります。
自転車保険の加入は非常に重要です。自転車に乗る方は必ず保険に加入し、家族みんなが補償対象となっているか確認して欲しいと思います。
また、自転車保険の加入率向上も大切ですが、自転車保険被害者にも最低限の補償がされるように自賠責保険の整備等を国に期待したいです。
(以下はニュース記事からの抜粋です)
自転車保険の加入6割 歩行者が死亡・重傷の事故で
2017年に自転車がぶつかるなどして歩行者が死亡・重傷となった事故のうち、自転車側の損害保険の加入率は60%にとどまった。警察庁の調査で明らかになった。過去には事故を起こした小学生の保護者が9千万円を超す賠償を求められたケースもあり、注意が必要とされる。
歩行者の死亡・重傷事故は299件発生。自転車側の運転者は若い年代が多く、24歳以下が過半数を占めた。内訳は10代が全体の37%と最多で、20~24歳が12%、9歳以下が2%だった。