「外貨建て保険」でトラブル多発。国民生活センターも注意呼びかけ
銀行窓口で販売されている「外貨建て保険」に関して、高齢者を中心にトラブルが目立っているようです。
外貨建て保険は為替リスクがある
外貨建て保険に関するトラブルの多くは元本割れといった「損失」に関するものです。
外貨建て保険は、その名の通り「保険料や保険金等が外貨建て(外貨で支払われる)となっている保険」であり、年金保険や終身保険が販売されています。
「保険」というと、どことなく安心なイメージを持つ方も多いと思いますが、外貨建て保険は為替リスクがあります。日本円で運用する保険とは異なるのです。
為替リスクがあると理解していても「元本が保証される」と言われれば、損をしない安全な商品であると思う方も多いと思います
しかし、元本の保証は「外貨建てでの元本保証」であって、円換算した金額を保証しているわけではありません。もし、円高傾向になれば円換算での資産は目減りします。
ある保険会社のHPを見てみると、外貨建て保険に関するページでは元本保証について大きく明記されていました。
外貨建てでの元本保証であって円換算での損失の可能性についても明記されていましたが、少しわかりづらい箇所に書かれていました。自分の資産が減らないと勘違いする方がいても仕方ないと思います。
金融商品は販売者優位の傾向
外貨建て保険に限らず金融商品全般に言えることですが、専門知識が必要な金融商品の売買では知識の多い販売者が優位になる傾向にあります。
販売者側は商品について説明はしていると思います。もちろん、損失が出ることがあることも伝えているでしょう。
それにも関わらずトラブルが多発しているのは、説明を理解した上で契約している人が少ないからでしょう。特に保険は安全なイメージがあるので、損をするはずがないと思って契約している方が多いと思われます。
販売者が100%悪いわけではないにしても相手が商品の内容を理解した上で契約していない現状から、やはり販売者側にも責任があるでしょう。
金融庁も注目していた「外貨建て保険」
外貨建て保険に関しては、金融庁も注目していました。
銀行窓口での保険販売が開始され約10年、他の金融商品に比べ外貨建て保険の売り上げは好調です。
しかし、他の金融商品と異なり外貨建て保険に関しては販売手数料が開示されておらず、金融庁は「販売手数料が高いから、顧客に外貨建て保険を勧めているのではないか」と疑念を抱くこととなりました。
2016年に金融庁は銀行等の銀行に対し、外貨建て保険を含む保険商品の手数料について開示することを求めました。結果として全ての銀行で販売手数料の開示を行うこととなりましたが、手数料を一括で受け取る方法から分割で受け取る方法に変更した為、開示される手数料は低くなったものの依然として高い手数料を受け取っているようです。
顧客も契約時には慎重に
銀行は販売手数料を稼ぐことで少しでも利益を上げたいと思っているのでしょうが、それは仕方ないことかもしれません。金融商品を扱っている点で銀行は特殊かもしれませんが、どの商売でも利益を上げる為に努力することは当然です。
意図していない保険(金融商品)に契約しないようにするには、顧客自身も気をつける必要があります。金融商品に関する勉強はもちろん、「少しでも不明点があれば契約をしない」「その場ですぐに契約をしない」等を意識すると良いと思います。
外貨建て保険を勧められてくるときは、メリットの説明を多くしてくるでしょう。たとえ魅力を感じてもデメリットについてもしっかりと説明を求め、大切な資産を守るためにも冷静に判断できるといいですね。
(以下はニュース記事からの抜粋です)
「元本減った」高齢者トラブル絶えず 銀行窓口販売の「外貨建て保険」
銀行窓口で販売する保険商品をめぐって、トラブルが絶えない。特に、投資性の高い一時払い保険「外貨建て保険」に対し、高齢者を中心に「元本保証だと思っていたのに損失が生じた」といった相談が寄せられているという。相談件数も多く、国民生活センターが注意を呼びかけている。