金融機関代理店向けに、ヒアリングスキル研修を開発
三井住友海上プライマリー生命が、金融機関代理店向けに「お客さま本位のヒアリングスキル研修」を開発し、代理店へ提供を開始しました。
開発の背景には2017年3月に金融庁が発表した「顧客本位の業務運営に関する原則」があります。この原則の中には「お客さまの取引目的・ニーズ等を把握したうえで、お客さまにふさわしい金融商品・サービスの提案・販売を行う」ことが明記されています。
以前から問題となっていた「顧客本位ではない」金融商品の提案
銀行などの金融機関窓口では、外貨建て年金保険等の投機性の高い保険商品を含めた様々な金融商品を提案・販売していますが、以前より金融商品の提案・販売のやり方が「顧客本位ではない」と金融庁に指摘されていました。
金融商品は内容が複雑で専門知識を要する商品です。そのような商品の販売では、顧客よりも知識が豊富な販売側(代理店側)が優位になってしまいます。それゆえ顧客側が十分にリスクを理解しないまま金融商品を購入し、「損をしてしまった」ということが多々ありました。
そのため、金融庁は金融機関に対して「顧客本位の業務運営に関する原則」を発表し、顧客本位の商品・サービスの提案をするように提言しています。三井住友海上プライマリー生命はそれを受けてヒアリングスキル研修を開発したようですが、今までの金融機関代理店の動きを見ていると、研修をしたところで顧客本位の販売・提案をするのは無理でしょう。
顧客本位ではない金融機関代理店の動き
金融庁は顧客本位の金融商品販売のために、ノルマについて問題視しました。過度なノルマがあるから、顧客本位とならない金融商品の販売が行われるとの考えです。
これを受けてノルマを廃止した金融機関もあるようですが、銀行員の友人に聞いたところ「ノルマが無くなるなんて聞いたことない。そんな夢のような話あるわけないし。」と言っていました。実際には、ノルマやそれに似たものが残っているのでしょう。
また、金融庁は「手数料の高い金融商品(特に保険商品)を売る」傾向にあることも問題視し、従来は開示されていなかった保険商品の代理店手数料の開示を求め、最初は手数料を開示することをしぶった大手銀行等の金融機関も、手数料開示をすることに決めました。
しかし、今度は銀行側は手数料を開示するにあたり受取方法を変更しました。
以前は一度に多くの手数料を受け取る方法を取っていたのですが、手数料を数回に分けて受け取る方法に変更して、一度に受け取る見た目の手数料を減らし、開示する手数料を減らしたのです。
結局は「ただのごまかし」です。
トータルでもらえる手数料は高いまま顧客に開示する手数料を低くすることで、「手数料が高いから提案しているわけではない」と思わせようとしたのでしょう。
このように金融庁が顧客本位の販売について色々指摘をしても、現場レベルでは全然浸透していかないのです。今回開発されたというヒアリングスキル研修をしたところで実際のところは何も変わらないでしょう。
顧客側も知識を身に付けて!
顧客本位の金融商品の販売は理想でしょうが、無理でしょう。これは金融商品に限ったことではなく、販売者側が利益を求めるのは当然のことですから、手数料の高い商品を勧めたくなるのは自然なことです。
このことを念頭において、顧客自身でも金融商品について学ぶことが大切で、理解できなかったり納得しづらい金融商品は買わないという強い意識を持つことが大切でしょう。
そのような啓発活動のほうが消費者のためになるのではないかと思います。
(以下はニュース記事からの抜粋です)
三井住友海上プライマリー生命、金融機関代理店向けに新たな「お客さま本位のヒアリングスキル研修」を開発
三井住友海上プライマリー生命は、新たな代理店向け研修のメニューとして「お客さま本位のヒアリングスキル研修」を開発し、11月8日から代理店への提供を開始した。
2017年3月、金融庁が公表した「顧客本位の業務運営に関する原則」を受け、各金融機関が、具体的な取組みを策定している。その中では多くの金融機関が取組みの一つに「お客さまの取引目的・ニーズ等を把握したうえで、お客さまにふさわしい金融商品・サービスの提案・販売を行う」ことが明記されている。
こうした状況を踏まえ、今般、同社では、販売担当者のヒアリングスキルの向上を支援する「お客さま本位のヒアリングスキル研修」を開発した。