介護サービスの大半が黒字、介護報酬の引き下げを要求か
2018年度の介護報酬改定の基礎資料となる「介護事業経営実態調査結果」によると、調査した介護保険の全22サービスのうち21サービスで施設・事業所が黒字を確保していることがわかりました。
この結果から、財務当局は介護報酬の引き下げを要求するとみられています。
介護報酬の引き下げで様々な問題が生じる
利益が出てるんだから、介護報酬引き下げても大丈夫でしょう。財務当局はそう考えているのでしょう。
高齢化社会で介護費用等の社会保障費が国の財政を圧迫していることは事実です。しかし、利益が出ているから介護報酬を引き下げようと考えるのは安直です。
大半が人件費に使われている介護報酬が引き下げられれば、介護士の待遇改善や新たな人員確保が難しくなります。
それだけではありません。介護報酬の引き下げは、今後介護を必要とする人の介護認定の基準をより厳しくする可能性もあります。介護士の人員確保ができないのであれば、できるだけ介護認定を厳しくして介護サービスを受ける人を減らしたいと考えるとは仕方ないですよね。
私の父も昨年脳幹出血で倒れ、現在は介護認定を受けています。看護師をしている友人に介護認定の話をしたところ「そんなに低いの?認定厳しくなったね!」と言われました。既に介護認定は厳しくなっているんですね。
介護報酬の引き下げは、介護士の待遇を改善してから
私は「介護士の待遇改善」「新たな人員確保」の問題を解決しないうちに、介護報酬の引き下げを要求することに反対です。
超高齢化社会で今後も要介護者が増えるのに、介護問題が改善されない状況は良くないですね。
そもそも、国は介護に対して甘く見過ぎじゃないでしょうか。介護に関する仕事は医師や看護師と違い、資格がなくても従事することができます。
そのことが「介護=誰にでもできる仕事」と思われ、国としても待遇改善に本腰を入れられないのではないかと思います。実際に介護の現場で働いている友人は、専門的な知識がないと介護の仕事は厳しいと言っています。
有資格者のみが介護に従事できるようになれば、待遇は良くなるかもしれません。
(ただ、そうなると人員確保が厳しくなってしまいますが、何かしらの工夫は必要でしょうが・・)
なんとも難しい問題ですが、仕事の割に待遇が悪いこと・人員が足りないことは事実です。そういったことを改善せずに介護報酬を引き下げるのは、介護の崩壊につながりかねません。
もっと削れる費用はありますよね。まずはそこから削って、もっと介護を充実させて欲しいです。
(以下はニュース記事から抜粋です
介護サービス、大半が黒字=利益率は低下、報酬改定に反映―厚労省調査
厚生労働省は26日、2018年度介護報酬改定の基礎資料となる介護事業経営実態調査結果を社会保障審議会(厚労相の諮問機関)の委員会に報告した。
調査した介護保険の全22サービスのうち居宅介護支援を除く21サービスで施設・事業所が黒字を確保していた。この結果を受け、年末の改定に向けた議論が本格化する。財政当局は経営状況が良好であることを理由に、介護報酬の引き下げを求める見通しだ。