放日客の旅行保険加入調査
観光庁は、訪日外国人客を対象とした海外旅行保険の加入状況を調査する方針を固めました。年内に調査内容を決定し、今年度末までに実施する予定とのことです。
この調査により、訪日外国人客の医療費未払いの実態を把握し保険加入促進に活かすようです。
増える医療費未納問題
訪日外国人客が年々増加していることはよく耳にしており、東京オリンピックも控えてこれからもさらに増えると見込まれています。
海外からの旅行者が増えれば経済にも良い効果をもたらします。最近では大都市だけではなく地方観光をする方も増えているので、地方の活性化も期待したいですね。
一方で、訪日外国人客の増加は喜ばしいだけではなく「医療費未払い問題」も引き起こしています。
2016年に近畿運輸局が大阪府で行った調査によると、訪日外国人客を受け入れた医療機関の約30%で未払いが発生しており、約800万円もの医療費が未払いである医療機関もありました。
大阪府だけの調査でこのような結果なので、全国的にはもっと高額な未払いのケースがあるかもしれません。
観光庁はやっと本格的な対応
観光庁は海外旅行保険の加入状況について、2013年に試験的に調査をしていました。その調査結果によると訪日外国人客の約3割が旅行保険に加入していませんでした。
試験的な調査の段階で3割もの訪日外国人客が旅行保険に加入していなかったにも関わらず、今までどうして本格的な調査や対策をして来なかったのでしょうね。
医療機関側は、保険未加入の訪日外国人客の治療を断ることはできません(医師法第19条の応召義務のため)。医療費未払い問題について、医療機関はどうにも出来ない状況なのです。そのような状況で何年も問題が放置されていたのですね。
早急に無保険者への対策を!
観光庁は今年度末までに調査を実施し、結果を踏まえて対策を検討するとのことです。既に医療費未払いは問題化しているのに、調査の結果が出るまで対策をしないつもりなのでしょうか。
調査をして未払いの実態を把握することも大切ですが、調査結果を待たずとも対策を講じる必要はあると思います。民間の保険会社ではすでに現地の保険会社と提携をして旅行保険の加入促進に取り組んでいますから、民間に比べて行政の動きが遅すぎるように感じます。
今後も増えると思われる医療費未払い問題について、早急に対策をして欲しいです。
私個人としては、自国で旅行保険に加入せずに来日した人に関しては、日本で訪日外国人客向けの旅行保険に加入することを義務化すると良いと思います。(もちろん旅行保険は民間の保険なので、簡単にはいかないとは思いますが)
その他には海外と同様に、日本でも医療費を全く支払える見込みがない方に関しては受診をお断りすることが可能になれば良いでしょう。
訪日客の旅行保険加入調査へ=医療費トラブル防止で観光庁
観光庁は30日、訪日外国人客を対象に海外旅行保険の加入状況を調査する方針を固めた。
訪日客が増える中、旅行保険に入らず入国する人も多い。滞在中にけがや病気で治療を受け、医療費未払いのまま帰国するケースもあるため、実態を把握し加入促進策に生かす。年内に調査内容を決め、今年度末まで実施する予定だ。
2013年に観光庁が試験的に実施した調査では、訪日外国人客の約3割が日本での医療費を補償する旅行保険などに入っていなかった。
政府は16年に約2404万人だった訪日客を20年に4000万人とする目標を掲げており、医療機関を受診する訪日客も増えるとみられている。