名古屋を通過するだけでも保険が必要
名古屋市は、10月1日より市内で自転車に乗る人に対して損害賠償保険への加入義務づける条例を制定しました。名古屋市民だけではなく、名古屋を自転車で通過するだけの人も対象です。
高額賠償事故は自動車だけの話ではない!
2015年6月に道路交通法が改正し、自転車の交通ルールが厳しくなりました。しかし周知徹底がされていないのか、未だに歩道を猛スピードで走る自転車や、堂々と右側を走る自転車に遭遇します。
3年の間に2回以上違反行為で摘発されたら、安全講習の受講を義務付けられていますが、実際のところどうなのでしょう。摘発されている人が本当にいるのか疑問なほど、ルールを守らない自転車をよく見ます。
さて、自転車の交通ルールが厳しくなった背景には自転車での事故の増加があります。「たかが自転車の事故」と思う人も多いでしょうが、被害者が死亡するなどして高額な賠償責任を負う事故もあります。
自動車であれば多くの方が自動車保険に加入し(自賠責保険に関しては強制加入)、万が一事故を起こしたとの被害者への補償に備えています。しかし自転車の場合はどうでしょう。保険に一切加入していない方も多いのではないでしょうか。
保険に加入していないと、高額な賠償金の支払い命令が出ても支払える人は少ないと思います。実際に支払能力がなく、相手に賠償金が支払われないケースもあります。
事故を起こす可能性があるのに、何も対策をしないなんて恐ろしいですよね。もし、加害者に支払能力が無く賠償金は支払われなかったら、被害者やその家族の生活は破綻してしまうかもしれません。
損害賠償保険の加入義務はいいことだと思うけど・・・
名古屋市は自転車事故の被害者に十分な補償がされない現状をみて、市内を通る自転車に対して損害賠償保険の加入を義務付ける条例を制定しました。この条例に反して保険に加入しなくても罰則規定は設けられていません。
罰則規定を設けられない理由の一つに「損害賠償保険は任意保険であること」があるでしょう。
自動車の自賠責保険のように、法律で加入が義務付けられている強制保険であれば罰則規定を設けられますが、損害賠償保険はあくまでも任意保険です。
本来、加入しなくてもいい保険に関して、罰則を設けることはできないですよね。「罰則規定がないなら、加入しない」という選択をする人は結構いるんじゃないかと思います。
そもそも自治体レベルで取り組む問題ではない
損害賠償保険への加入促進になるかは別として、名古屋市が自転車事故の賠償問題に取り組む姿勢はすばらしいですね。CMで自転車での高額賠償事故の事例を周知することで、自転車事故への備えについて考えるきっかけとなります。
しかし、この自転車事故の問題は、自治体レベルで対応するものでしょうか。自転車事故は全国各地で起きるものであり、名古屋市内の問題ではありません。この問題は、国として取り組むべきなのではないでしょうか。
自転車も自動車も、重大な事故を引き起こす可能性があることに変わりはありません。自転車にも自賠責保険の加入を義務化など国が本腰を入れて対応する時期に来ていると思います。
今すぐにできることは、やはり保険の加入
国が取り組むべき問題とはいえ、国がこの問題について早急に対応することはないでしょう。やはり、現段階では個人で損害賠償保険へ加入して備えないといけないですね。
自転車保険に加入するのも良いですが、自動車保険や火災保険に加入している方は「個人賠償責任特約」を付帯することで、自転車事故への賠償事故に備えられます。
加入していない方は、一度検討してみてはいかがですか?
以下はニュース記事からです。
名古屋市、自転車保険を義務化 事故で高額賠償、相次ぐ
名古屋市内で自転車に乗る人は10月1日から、損害賠償保険への加入が市条例で義務付けられる。事故の加害者が高額の損害賠償を求められる事例が続いており、被害者が十分な賠償金を受けられるよう保護することが大きな狙いだ。市は16日までテレビCMを流し、周知を図っている。
保険加入が義務化されるのは市民に限らず、市内で自転車に乗る人すべて。
未成年者なら、保護者の加入が必要だ。罰則はない。すでに知多市が保険加入を促す条例を施行しているが、義務化は県内初という。