各社力を入れるマネーロンダリング対策
損保会社では、マネーロンダリング対策を強化しています。
マネーロンダリングは日本語で「資金洗浄」といい、「犯罪によって得られたお金(汚いお金)を、他人名義の口座を利用して送金を繰り返す等をして、お金の出所を分からなくする(きれいなお金にする)」ことを言います。
損害保険とマネーロンダリング
損害保険をマネーロンダリングの手段として利用する場合、「高額の保険料の契約を結んで、保険始期前に取り消しをする」「いくつもの保険に加入して、保険始期日前に取り消しをする」等の方法が考えられます。
保険会社では、マネーロンダリングの可能性がある「疑わしい取引」の基準を定め、一定額以上の保険料や解約返戻金等がある契約について適宜調査をし、マネーロンダリングに保険が利用されていないか確認をします。
調査対象となる契約の多くは積立保険でしたが、昨今の低金利の影響で積立保険の販売を終了している損保会社も多いので、現在では調査対象となる契約は少なくなっています。
ただ、新規の積立保険の販売はしていないものの既に契約が成立している積立保険もあるので、それらは引き続き注視していく必要があります。
マネーロンダリング対策は世界中の情報を活用
マネーロンダリング対策は、日本の犯罪組織のみに目を向けているのではありません。
損保会社に限らず、金融機関全般で世界に目を向けたマネーロンダリング対策が行われています。
国連が「資産凍結者」に指定するテロリスト等の人物は、国境を越えてマネーロンダリングをする可能性があり、国際的に注意が必要となります。
各社、国連や財務省で公表されている資産凍結者に指定された個人や団体の情報を入手し、契約の引受時の審査に役立てています。
資産凍結者以外にも、「外国PEPs」の契約にも注意しています。
銀行で新たに口座を開くとき、外国PEPsであるか確認されたこともある方もいると思います。
PEPsとは「Politically Exposed Persons」のことで、外国で政治的な要職についていた方やその関係者を指します。
外国PEPsの方はテロリストや犯罪者というわけではありませんが、犯罪に関与する可能性が高いとして、契約の際には注意が必要とされています。
このようにコンプライアンスで部は色々な情報を収集し、犯罪者の契約を引き受けないよう陰ながら頑張っているのです。
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