損保ジャパン日本興亜が損害調査にドローン活用本格化。ドローン関連予算も拡大へ
損保ジャパン日本興亜は、来るべき首都直下地震に備え都市部での損害調査でドローンの活用を本格化させる方針を固めました。
地方では災害時のドローン導入が広がりつつあり、同社は熊本地震の損害調査でもドローンを活用しました。しかし、都市部ではビル風や電波障害等で導入が難航しているのが現状です。
ドローン関連予算を拡大し、早期の実用化を目指すとのことです。
ドローンで損害調査の迅速化
少し前までドローンと言えば、数年前に長野県の善光寺や国会議事堂付近でドローンを飛ばして話題になった「ドローン少年」を思い出してしまってあまり良いイメージがなかった私ですが、最近のドローンの活躍は本当にすばらしいと思います。
損保ジャパン日本興亜はドローンの活用に特に力を入れている損保会社で、九州北部豪雨では損害保険会社としては初めてドローンによる損害調査で計約1億円の保険金を支払いました。
九州北部豪雨以外にも、2016年12月に起きた新潟県糸魚川市の大規模火災でもドローンを使った損害調査を行ったようです。
ドローンでの損害調査が本格的に導入されれば、大規模災害時の活躍が期待できます。孤立してしまった集落や人が立ち入ることが危険な場所でもドローンを飛ばせば現地の状況を素早く把握することが出来て、損害調査もスムーズに行えます。
ドローン活用で保険会社の効率は飛躍的に向上する!
さらに、ドローン導入によって損害調査の経費削減が見込めるのは間違いないです。
大規模災害が起きると、現地の損害調査員だけでは人手が足りずに全国から応援要員が集められます。全国から被災地に一気に集まってくるわけですから、出張費だけでもかなりの経費がかかります。
もしドローンによる本格的な損害調査が可能になれば、このような大規模な応援活動が不要になるかもしれません。ドローンで撮影した映像で査定してしまえば、人員を現地へ派遣しなくても済みますからね。当然その分の経費を削減できます。
私が保険会社で働いていたときのこと
もう10年ほど前の話なのですが、私が勤めていた損害保険会社では普段は損害調査以外の業務に携わっている社員でも、大規模災害が起こった場合には応援要員として損害調査をすることなっていました。
私も応援要員として2時間ほどの研修を受けました。幸い、一度も応援要員として派遣されることはありませんでしたが、大規模災害時に普段は損害調査をしない社員が現地に派遣されたところで経費だけが無駄にかかって、正直なところあまり役に立てなかったのではないかと思います。
首都直下地震が来る前に、ぜひ実用化を!
現段階では都市部でのドローン活用には様々な問題がありますが、実用化が進めば大活躍すること間違いなしです。
特に首都直下地震では甚大な被害が予想されているので、少しでも被害の拡大を防ぐためにもドローンの実用化を期待したいですね。
損保ジャパン日本興亜だけでなく、損害保険業界全体としてドローンの活用に積極的になってほしいと思います。
(以下はニュース記事からの抜粋です)
ドローンを都市部で本格活用 損保ジャパン方針 首都直下地震備え
損害保険ジャパン日本興亜が、首都直下地震などに備え、都市部でドローンの活用を本格化させる方針を固めたことが4日、分かった。災害時でのドローン活用は地方を中心に広がりつつあるが、都市部では電波障害やビル風などの影響で導入が難航している。同社は今後、ドローン関連予算を拡大する方針で、12日には一般人を含めた50人超の態勢で情報収集や避難誘導などの実証実験も行い、早期の実用化を目指す。
保険会社がドローン活用に力を入れるのは、災害時の現地調査に活用し、迅速な保険金の支払いに役立てるためだ。また、スピーカーを取り付けて避難誘導したり、医療物資や食料などを運搬したりすることで被害を最小限に抑え、保険金の支払いを減らす狙いもある。
同社は、昨年4月の熊本地震などでドローンを活用してきたが、都市部での実践運用はまだできていない。人口密集地での飛行は危険が伴う上、多くの妨害電波が飛び交うためドローンを安定飛行させるのが困難だからだ。ビル風など自然とは異なる気象条件も導入を難しくさせているという。
ただ、人口の多い都市部でこそ導入の効果は大きく、同社は取り組みを加速させる。10月にはドローンを新たに2基購入したほか、来年もさらに2基増やす予算措置を行った。操縦ができる職員や、ドローン運搬のための専用車両を増やすことも検討しているという。昨年7月には、都度申請が不要な国の包括許可を保険会社として初めて取得しており、いつでもドローンを飛ばせる態勢も整備した。