台風21号の損保支払保険金が過去最高に
損保協会の調査により、台風21号の損害保険金が過去最高額の5851億円に達したことが分かりました。
保険金支払件数は、損保39社で77万件を超えているとのことです。
通常の何倍もの電話・連絡がかかってくる!
自然災害が発生すると、保険金を受け取っていち早く生活再建するために、多くの方が損保会社の事故受付センターや代理店に電話をします。
通常時の何十倍もの方が電話をするので回線はパンクし、電話はなかなか繋がりません。
最近では24時間事故受付のサービスを行なっている損保会社も多く、遅い時間などは電話が繋がりやすくなっています。
しかし、24時間事故受付サービスは損保会社から委託されたコールセンターで運営していることが多く、損保会社から改めて連絡をもらって初めて査定等の手続きに入ります。
インターネットでの事故受付も同様で、損保会社からの連絡を待つ必要があります。
電話も繋がらない、連絡もなかなか来ない。そんな状況では被災された方は「何のための損害保険だ」と思いますよね。
もちろん、損保会社はこのような状況を放っておくわけではありません。損保会社のほうでも災害対応のための体制を整えてるのです。
全社をあげて災害対応
損保会社は今回のような自然災害が起きると、全国の社員が一丸となって対応します。
ここでは、私が働いていた損保会社での対応を紹介します。これから損保会社へ転職・就職を考えている方のご参考になると幸いです。
大きな災害が起きると、まずは事故受付をスムーズにするために電話回線を増やします。私が働いていた損保会社では、本社で被災地の事故受付ができるように回線を増やしていました。
事故受付がスムーズになると、次に事故受付をした案件を査定する必要があります。
そこで、査定部門を取りまとめる本社部署は、全国より応援を要請します。
現地で災害対策室を立ち上げ、そこに応援要員を派遣します。現地の応援要員は基本的に査定部門を経験したことのある社員です。
また、事故受付時の聞き取りにより、比較的軽微(支払い保険金が一定額以下)で、現地での査定が不要と判断された案件については、応援要員の社員が契約者の方に電話をして支払い手続きを進めます。この応援要員は、査定部門での経験は問わず、全員が事前に研修を受けた上で契約者対応をしていました。
その他の社員は、応援で派遣された社員の業務をフォローし、被災地以外の契約者の方や代理店にいつも通りに対応をできるように努めます。
現地や電話で対応する応援要員と、応援要員の業務をフォローをする社員、全ての社員が協力し合って自然災害の対応をしているのです。
今後も自然災害は増えることが予想されているので、損保会社の全社一丸となった対応はますます必要ですね。
(以下はニュース記事からの抜粋です)
<台風21号>損保支払い過去最高5851億円 都市直撃で
大阪府を中心に甚大な被害をもたらした9月の台風21号で、損害保険金の支払額が計5851億円に達し、国内の風水害では過去最高額になったとの調査結果を日本損害保険協会がまとめた。非常に強い勢力のまま大都市を直撃したため、被災件数が多くなったことが原因とみられる。
協会によると、計上したのは企業や個人が契約する火災や車両などの損害保険で、39社による支払件数は約77万2800件に上った。これまでの最高額は、全国で死者62人を出し、東北地方で果樹の落果が相次いで「リンゴ台風」とも呼ばれる1991年の台風19号の5680億円(約60万7300件)だった。