AIの導入が進む損害保険業界
私たちの日常生活においても、AIがだんだんと身近な存在になって来ましたね。
もちろん、損保業界でもAIの活用が広がっています。事務処理の一部をAIが行うことで営業担当者の負担を減らしたり、AIを使った保険料の見積もりを行っている保険会社もあります。
東京海上日動では、今年の秋よりAIを使って安全運転を手助けするサービスを開始します。
このサービスでは、車載カメラで車内の映像を記録して急ブレーキ等の危険動作の原因の特定や運転手ごとのクセを見つけ、運転に改善を促すというものです。
このサービスによって事故率が下がれば、結果として保険料の割引にもつながるので契約者にとってもメリットが見込めるサービスです。
損保業界のAIの活用がどんどん広がっていくのは確実でしょう。
東京海上ホールディングスでは、2020年までにAIを活用して車両の損害査定を行い、早ければ即日に保険金を支払うシステムの導入を目指すとのことです。
まずは、グループ会社のイーデザイン損保で導入する予定とのことです。イーデザイン損保はダイレクト自動車保険を取り扱っているので、もし導入されれば加入手続きから保険金支払いまでスマホだけで済ませることもできます。画期的ですね。
AI導入は、契約者・損保会社社員の双方にメリット
この「AIによる車両の損害査定」が実現すれば、利用者は面倒な手続きが要らなくなりますし、早ければ当日に保険金が支払われるのですぐに修理に出すこともできる利点があります。
そして、契約者以上にメリットがあるのは保険会社の社員(特に査定部門の社員)でしょう。
自動車保険の査定部門の社員は、保険金を適切に支払うために損害の調査や相手との示談交渉をします。
自動車事故は軽微なものを含めると全国各地で頻繁に発生しているので、査定社員は1人で多くの案件を抱えています。
また、示談交渉もスムーズに行くものばかりではなく、交渉が長期間に渡るものや裁判が必要になって来ることもあります。その間にも、自動車事故の案件はどんどん増えるので、非常に業務量が多くなってしまいます。
もし、示談交渉が必要のない事故だけであっても、AIが損害を査定をして保険金支払いまでスムーズに行えることができるとしたら、査定部門の社員の業務は大幅に減らせることができると思います。
この契約者にも査定部門社員にもメリットのあるAIによる査定を、早く実用化して欲しいですね。
(以下はニュース記事からの抜粋です)
車の保険金、即日払いへ 東京海上 事故対応、スマホで完結
東京海上ホールディングスは2020年にも自動車保険の保険金を最短で即日に払えるシステムの導入をめざす。米保険スタートアップ企業に出資し、人工知能(AI)を使うデータ分析技術を獲得。車の損傷確認など手続きを契約者がスマートフォン(スマホ)で完結できる環境を整え、保険金の申請から支払いまでの期間を従来の2~3週間から大幅に縮める。
国内損保最大手の東京海上が主力の自動車保険分野で先端デジタル技術の活用に動くことで、保険とIT(情報技術)が融合した「インシュアテック」の流れが日本でも一段と加速しそうだ。