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ソニー生命が1億円超の生命保険詐欺。背景にあるのは完全歩合制か?

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金融庁が完全歩合制の実態調査へ

ソニー生命の元社員が2009年9月〜17年4月に6人の顧客と架空の生命保険契約を結び、1億円以上をだまし取った事件がありました。

この事件に関して、金融庁は「契約が取れなかった月に架空契約を結んで現金をだまし取った可能性」を考慮して、完全歩合給の給与制度に問題がなかったか検査を行っています。検査は5月末に終える予定です。

ひと味違うソニー生命の「ライフプランナー」

多くの生命保険会社は、営業専門の職員が契約や保全の活動をしています。

ソニー生命では「ライフプランナー」と呼ばれる社員が営業活動をしているのですが、ライフプランナーは他の保険会社の営業職員とは一味違います。

ソニー生命のライフプランナーは、生命保険だけでなく住宅ローンや資産運用等の多岐にわたる相談を受ける「お金のプロ」です。

保険商品だけではなくあらゆる金融に関する知識が必要であり、非常に優秀な人材が活躍しています。

完全歩合は危険

ソニー生命のライフプランナーは、完全実力主義。入社後3ヶ月までは固定給がありますが4ヶ月目以降からは完全歩合給になるそうです(転職サイト参考)。

固定給と異なり、自分自身の実力次第では青天井で給料が上がっていく歩合給。太い顧客を持ち常に契約を取れる社員にとって、完全歩合給は素晴らしい給与体系です。

しかし、完全歩合給は「結果」が全て。いくら営業活動を頑張っても、数字を上げなければ意味がありません。

契約を取るまでの「過程」が全く評価されないのは非常に厳しいですよね。どんなに営業活動に時間を費やしても、契約が取れなければ給与は貰えないのですから。

良い成績が維持できれば完全歩合給は非常に魅力ですが、良いときもあれば悪いときもある人がほとんどでしょう。

完全歩合給である事を受け入れた上で就職するとは思いますが、実際に成績が悪い月に給与が少なくなることを経験してしまえば、焦ると思います。

今回不正をした元ソニー生命社員も、恐らく思うように成績を上げられなくて焦りがあったのかもしれません。もちろん、不正をすることは良くありませんが、不正を働くまで追い詰められるような給与体系も問題です。

最低限の給与保障は必要

完全歩合給は、私個人としては反対です。社員は生活をするために働いているのですから、最低限の固定給は無いと困りますね。

一部歩合給制やボーナスで差をつけるなど、成績の良し悪しで給与に差をつける方法はあります。是非、社員を追い詰めるような給与体系やめて欲しいものです。

(以下はニュース記事からの抜粋です)

金融庁、生保の完全歩合制を問題視 架空契約事件でソニー生命に立ち入り検査

 ソニー生命保険の社員から架空の生命保険契約で現金をだまし取られる被害が相次いだ問題で、金融庁が同社に立ち入り検査に入っていることが5日、分かった。
業務の成果に応じて賃金が支払われる「完全歩合制」の給与形態が事件を招いた可能性があるとして、実態の把握に乗り出した。

 金融庁は、一連の事件を受けて昨年秋から検査官をソニー生命に派遣し、同社の完全歩合制の給与形態に問題がなかったかなど、検査を行っている。

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はるみ

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大学を卒業後、東京の損害保険会社商品部で勤務していました。 結婚後は別の保険会社のコールセンターでも働き、今も保険業界のライティング活動をするなど生命保険/損害保険に関わる仕事をしています。

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